メディア芸術祭の「マンガ部門」受賞作が発表された。「マンガ部門」の対象は、「単行本で発行されたマンガ、雑誌などに掲載されたマンガ(連載中の作品を含む)、自主制作・同人誌などで発表されたマンガ、ウェブで発表されたマンガ(PC、Mobileなどを含む)など」とされている。この賞の特徴としては、商業誌ではない自主制作の同人誌や、紙媒体以外の作品を対象にしている点と、エントリーに自薦が必要という点があげられるだろう。

受賞作は以下のとおり。

大賞:『土星マンション』(岩岡ヒサエ、日本、単行本・雑誌)

優秀賞:『あの日からのマンガ』(しりあがり寿、日本、単行本・雑誌)、

『皺』(著:パコ・ロカ/訳:小野耕世、高木菜々、スペイン、単行本・雑誌)

『秘密 トップ・シークレット』(清水玲子、日本、単行本・雑誌)

『ファン・ホーム – ある家族の悲喜劇 -』(著:アリソン・ベクダル/訳:椎名ゆかり、アメリカ、単行本・雑誌)

新人賞:『なかよし団の冒険』(西村ツチカ、日本、単行本・雑誌)、『まげもん。』(昌原光一、日本、単行本・雑誌)、『マスタード・チョコレート』(冬川智子、日本、Web・Mobile)

大賞を受賞した『土星マンション』は2011年に連載が完結したばかりの作品(単行本全7巻)。地上に住むことが許されなくなった時代、人類は地球の周囲をめぐるリング状の「マンション」に住んでいた。主人公の「ミツ」はその「マンション」の窓ふきをしている。リング状の「マンション」は上層・中層・下層に分けられており、人々は住んでいる階層で、社会的な階級が決められていた。リングの外の宇宙空間で作業する窓ふきは、下層住民の危険な仕事。だがその費用は高く、依頼主はほとんどが上層の金持ちの住民だ。窓ふきの仕事を通じて、ミツは上層と下層、さまざまな人と交流し成長していく。最終巻の地上の表現は見事だった。柔らかな描線で骨太のストーリーを語る岩岡ヒサエ氏は、連載中の『星が原あおまんじゅうの森』もすでに名作の雰囲気を漂わせており、現在注目の作家のひとりだ。

優秀作に海外作品がふたつも入っているのも、昨年からの海外マンガ翻訳ブームを反映していて興味深い。受賞作はいずれも名作ぞろいなので、ぜひ作品自体を手にとって読んでいただきたい。

平成23年度[第15回]文化庁メディア芸術祭授賞作品プレスリリース[PDF]

http://plaza.bunka.go.jp/festival/2011/pdf/111215_press.pdf