米スミソニアン美術館で開催中の企画展「The Art of Videogame」で、図録 The Art of Videogame From Pac-Man to Mass Effect が出版中だ。判型は257ミリ四方の正方形で、全215ページ、オールカラーの豪華版。展示に会わせて「始まり」「8ビット」「ビットウォーズ」「過渡期」「次世代」の5章に分けられ、全80作を掲載した。ビデオゲーム産業の父と言われるノラン・ブッシュネル氏など、業界人15名のインタビューも収録されている。

一読して驚かされるのは、初期ゲームソフトのドット絵と、最新作のリアルなCG映像が、まったく等価な存在として飛び込んでくることだ。モニター上では圧倒的な臨場感を誇る3DCGも、印刷物の上ではくすんだり、にじんだりといった劣化が避けられない。一方でドット絵によるビジュアル表現は鮮やかで、グラフィックデザインとして優れている。一般的にゲームのグラフィック表現は過去30年で「進化」したとされるが、むしろ「多様化した」と捉え直すべきではないかと感じた。

また本展覧会は家庭用ゲーム機に焦点を当てており、アーケードゲームを省略している(PCゲームは一部収録されている)。そのため第1章「始まり」が、アタリVCS、コレコビジョン、インテレビジョンと、全てアメリカのテレビゲーム機で占められている点も興味深い(ゲームソフトでは「パックマン」など国産タイトルが3作含まれている)。一方でファミコンのゲームソフトが登場するのは1987年の「ゼルダの伝説」から。日本では省略されがちなファミコン以前のゲームも、しっかり取り上げている。

このほか各章で収録されている国産(アメリカ産)ソフトの比率も関心を引く。「始まり」が12作中0本だったのに対して、「8ビット」が12作中6本、「ビットウォーズ」が8作中5本、「過渡期」が20作中12本と、1980-1990年代では国産ソフトが過半数を数えるようになる。これが最新の「次世代」では40作中10作と減少しており、2000年代以降の地位低下が明らかだ。このようにアメリカ人の捉えるゲーム史観が見え隠れしており、一読をお勧めしたい。日本からも米Amazonなどで購入できる。

米スミソニアン・アメリカ美術館でゲームの企画展が開催中
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