「フィルム&ビデオ ディストリビューション・データベース(The Film and Video Distribution Database)」とは、1960年代半ばより英国でインディペンデント・フィルム/ビデオと呼ばれるような作品の営利/非営利両側面からディストリビューション(配給の他、放送、コミッションワーク、展覧会なども含む)に関する数千件のドキュメントをもとに作成されたデータベースである。

このデータベースが、アート&人文科学研究協議会(AHRC: Art and Humanities Research Council、英国)が2002年から2005年に行った研究成果として、ウェブで公開されている。。

データベースには、英国フィルム協会、チャンネル4、FACTなど英国内20以上の施設から資料が提供された。本研究の中心人物であった、ジュリア・ナイト氏(Julia Knight、当時ルートン大学)、ピーター・トーマス氏(Peter Thomas、当時ルートン大学)がサンダーランド大学へ異動以降、サンダーランド大学とロンドン芸術大学内のブリティッシュ・アーティストのフィルム/ビデオ研究コレクション(British Artists’ Film and Video Study Collection)が共同で本データベースを運営する。また、ブリティッシュ・アーティストのフィルム/ビデオ研究コレクションは、AHRCが設置したフューチャー・ヒストリーズ・オブ・ムービングイメージ研究ネットワーク(Future Histories of the Moving Image Research Network)のメンバーでもある。

本データベースの特徴は、入口は「ドキュメント検索(Document Search)」と「イベント検索(Event Search)」の2つに分かれているが、データベース内では、公開可能な報告書、契約書、出版物、リサーチ資料などのドキュメントPDFとイベントをそれぞれ紐づけて閲覧できる点である。検索方法はシンプル版と絞り込みができるアドバンス版の2種類がある。また、イベントおよびドキュメントのリスト一覧(full listing)機能があり、イベントは年代順で、ドキュメントはアルファベット順で全体を俯瞰することもできる。比較的件数が少ない場合に有効といえる機能ではあるが、ユーザーがデータベース全体を何らかの形で俯瞰できる点は必要な要素だと考えられる。

本データベースは進行中のため、データ拡充やインターフェイス・デザイン強化などの課題が見受けられるが、イベントと紙資料を中心にしたアーカイブをデータベース上で共存させようとする試みは評価できる。メディアアートに関する多くのデータベースは作品と画像/映像データを組み合わせた内容が主流といえるが、本データベースのように、イベントあるいは作品が制作された背景とその流通を知るアーカイブ資料に注目している点が興味深い。

フィルム&ビデオ ディストリビューション・データベース(The Film and Video Distribution Database)
http://fv-distribution-database.ac.uk/