ロンドンのフォトグラファーズ・ギャラリー(The Photographer’s Gallery)で、GIFアニメーションのプロジェクト「Born in 1987: The Animated GIF」が、2012年5月19日から7月10日までの約2か月にわたって開催された。「1987」とは、ウェブの初期からある圧縮画像形式:GIF(Graphics Interchange Format)が誕生した年である。GIFは「アニメーション」をサポートしていたため、静的な世界であったウェブに「動き」を導入することになった。このアニメーションGIFを用いた作品を集めたのが「Born in 1987」である。プロジェクトには、「工事中のサイン」や「星空の背景」といったインターネット初期の事象を集めた『デジタル・フォークロア』の編著者オリア・リアリナ氏(Olia Lialina)など、40名以上の作家が参加している。また、一般からのアニメーションGIFの投稿も受け付けている。

「Born in 1987」には短いながらも読み応えのある論考がふたつ寄せられている。ひとつは、ニューメディア研究の新たな地平を開いた『ソフトウェア・スタディーズ』の編著者マシュー・フラー氏(Matthew Fuller)による「GIFFED ECONOMY」である。フラー氏はGIFの特性と歴史を簡潔にまとめつつ、GIFという画像形式がひとつのポップカルチャーを形成していることを示している。

もうひとつは、写真研究者ダニエル・ルビンスタイン氏(Daniel Rubinstein)による「GIF TODAY」である。ルビンスタイン氏によると、アニメーションGIFは文字どおり「動画」なのだが、その特徴のひとつである「ループ」という形式が見る人に「静止性」を印象づけるという。さらに、GIFは「真実」や「記憶」とは異なる空間を写真に開くが、それはこの画像フォーマットが「内容と形式」や「イメージとモノ」といった写真につきまとう二項対立から自由であるからだとされる。このようにルビンスタイン氏は写真との対比から、GIFの理解に新たな光を投げかける。

写真を専門とするギャラリーでウェブ独自の表現を展示する「Born in 1987」は、アナログとデジタルの間で揺れてきたイメージに対して、それらを区別しない意識が生まれつつあることを示していると考えられる。そして、このプロジェクトに集められた多くのアニメーションGIFとそれらをニューメディアや写真研究へと組み込んでいくフラー氏とルビンスタイン氏によるテキストから、GIFの可能性が拡がっていくことを期待したい。

 

Born in 1987: The Animated GIF microsite
http://joyofgif.tumblr.com/