アメリカ合衆国オハイオ州立大学のビリー・アイルランド・カートゥーン・ライブラリー&ミュージアムでは、2014年12月13日から2015年3月15日にかけて、「コミックの王様:ウィリアム・ランドルフ・ハーストとキング・フューチャーズ100周年展」(KING OF THE COMICS: WILLIAM RANDOLPH HEARST AND 100 YEARS OF KING FEATURES)が開催されている。

ウィリアム・ランドルフ・ハースト氏(1863-1951)は、映画『市民ケーン』のモデルともなった、アメリカの新聞・メディア王。もう一人の新聞王であったジョーゼフ・ピューリツァーと、20世紀初頭に熾烈な新聞販売競争を繰り広げた。その時に大きな役割を果たしたのが、日曜版付録紙に掲載されていたマンガだったと言われる。19世紀末から20世紀の初めにかけて、アメリカではこの日曜付録版(サンデー・ページ)を舞台に、様々な初期マンガが育てられていくことになる。

そのハースト氏が1914年に設立したのがキング・フューチャーズ・シンジケートだ。全米各地の新聞に記事やコラム、パズル、そしてマンガなどを配信する会社だった。国土の広いアメリカ合衆国においては、日本と異なり全国紙の数がそれほど多くなく、全米各地に有力な地方紙が存在する。シンジケートはそれらの新聞に同じマンガを配信することで、アメリカ人なら誰でも知っているような国民的なマンガ・キャラクターの成立に寄与したとされる。また、その配信先は海外にも及び、戦前日本にもジョージ・マクナマス『親爺教育』などがこのシンジケートを介して輸入されていた。

今回の展示は、そのキング・フューチャーズ創立100周年と、マンガの生みの親の一人とも言えるウィリアム・ランドルフ・ハースト氏を取り上げるもの。『ザ・コミックス:コンプリート・コレクション』(The Comics: The Complete Collection, Harry N. Abrams, 2011)の著者であり、ナショナル・カートゥーン・ミュージアムの創設者でもあるブライアン・ウォーカー氏がキュレーションを務め、ハースト氏が初期新聞コミック誕生に果たした役割と、キング・フューチャーズ100年の歴史が辿られる。ナショナル・カートゥーン・ミュージアムは1974年に設立されたマンガ・ミュージアムで、全米で最も古い歴史を持つマンガ・アーカイブだった。残念ながら経営難から2002年に閉鎖されたが、現在そのコレクションはビリー・アイルランド・カートゥーン・ライブラリー&ミュージアムに受け継がれている。

ビリー・アイルランド・カートゥーン・ライブラリー&ミュージアムは、ここでも何度かお伝えしたように(メディア芸術カレントコンテンツ内関連記事)、アメリカで重要なマンガ・アーカイブとしてその筆頭に挙げられる施設で、日本のマンガについても「時事漫画」など、とりわけ古いものを収集していることで知られる。ホームページによれば、先日それらの日本マンガの貴重書を紹介するオープン・ハウスも開催されたようだ。

また、次回展示としてカリフォルニア州立大学の徳雅美氏がキュレーションを行う「日本少女マンガの世界:少女たちの欲望を映す鏡展」(WORLD OF SHOJO MANGA: MIRRORS OF GIRLS’DESIRES!)が、2015年3月28日から7月15日にかけて開催されることがすでに予告されている。

コミックの王様:ウィリアム・ランドルフ・ハーストとキング・フューチャーズ100周年展
http://library.osu.edu/blogs/cartoons/2014/11/20/upcoming-exhibit-king-of-the-comics/