@font-face { font-family: “Arial”; }@font-face { font-family: “Century”; }@font-face { font-family: “ヒラギノ角ゴ ProN W3”; }@font-face { アートブログの HYPERALLERGIC と Tumblr は2013年3月9日に The World’s First Tumblr Art Symposium をニューヨークで開催した。アートフェアのアーモリーショーに合わせて開催されており、Tumblr とアートとの関係を探ることがシンポジウムの議題になっている。

HYPERALLERGICには、シンポジウムのために事前に依頼執筆された12本ものエッセイが掲載されている。これらは貴重なテキストである。なぜなら、シンポジウムにも登壇しているアートユニット Eco Art Tech の レイラ・ネイダ−(Leila Nadir)氏 とカリー・パーパーメント(Cary Peppermint)氏が”Tumblr, Art, and Web 2.0 Ecologies” に書いているように、私たちは目の前で起こっている現象を語る言葉を持たないことが多いからである。だからこそ、今回のシンポジウムのような機会をきっかけにして、現在のネットの状況を語るための「あらたな言葉」をつくっていくことが必要なのである。

シンポジウム自体も3時間にわたり白熱したものであった。”Past, Present, Future: Why Should I Reblog This?” と出された最初のパネルセッションには、アーティストのホーヴェジニアン(G.H. Hovagimyan)氏、キュレーターのクリスティアン・ポール(Christiane Paul)氏と リンジー・ハワード(Lindsay Howard)氏、及び Eco Art Tech のふたりが登壇。その後、社会学者の トリシャ・ワン(Tricia Wang)氏によるプレゼンテーション “Tumblring Our Elastic Selves”、Tumblrで多くのプロジェクトを発表しているアーティストのジェニファー・チェン(Jennifer Chan)氏と ブラッド・トレエメル(Brad Troemel)氏によるトークと続き、最後は建築家のクリストフ・コンプッシュ(Christoph a. Kumpusch)氏によるプレゼンテーションが行われた。

盛りだくさんの内容の中から、いくつかを紹介していきたい。ワン 氏はTumblrに複数のブログを持つ自身の体験から、Tumblrは「伸縮自在な自己」に最適なプラットフォームであるとする。ワン氏のプレゼンで最も興味深かったのが、「伸縮自在な自己」と広告の関係であった。Tumblr では自己のアイデンティティは伸び縮みするがゆえに不確定である。それは、確固としたひとつの自己をターゲットとしたい広告とは反りが合わない。Tumblr が収入を得るには広告を導入する必要があるが、広告によって「伸縮自在な自己」は損なわれるべきではないと、彼女は訴えた。

Our Reblogs, Ourselves” を書いたライターのジュリアン・スタインハウアー(Jillian Steinhauer)氏は、Tumblr はプライベートのルールに支配されたパブリックな空間と指摘する。例えば、Tumblr は個人のスクラップブックのように画像などを集められるが、それはネット上で公開されているという点で「スクラップブック」ではないということである。Tumblr はプライベートとパブリックの間をまたぎながら、著作権の概念を揺るがしているのである。

コーヒー好きなアーティストの マン・バートレット(Man Bartlett)氏による “On Coffee Houses, Salons, and the Post Arts”  では、自由な議論の場であったイギリスのコーヒーハウスやフランスのサロンなどの歴史を振り返りながら、Tumblr がそれら継承していると指摘される。また、バートレット 氏は自身も含めた Tumblr に作品を発表しているアーティストたちは「ポスト・アーティスト」だとする。「ポスト」は作品を「投稿」する行為でもあり、伝統「のあと」という意味でもある。「ポスト・インターネット」のように何にでも「ポスト」がつく時代だからこそ、「投稿=ポスト=あとの」というこの指摘は、私たちのリアリティや伝統との距離感を考える上で重要である。

Tumblr はイメージの流通という観点から、アイデンティティのあり方を変え、プライベートとパブリックの関係を変え、私たちのリアリティへの感覚も変えつつある。今回のシンポジウムはその変容を捉えるための「土台づくり」だったといえる。だからこそ、The World’s Second Tumblr Art Symposium が開催されることを期待したい。

 

The World’s First Tumblr Art Symposium
http://hyperallergic.com/tumblrart/

シンポジウムのライブ中継のアーカイブ
http://new.livestream.com/tumblr/tumblrarthyperallergic