ロンドン中心部、大英博物館のそばにある「カートゥーン・ミュージアム」(The Cartoon Museum)で、2014年10月22日から2015年1月18日にかけて、「ホガースのロンドン展」(Hogarth’s London)が開催される。

ウィリアム・ホガース(1697-1764)は、イギリスの画家・版画家。「娼婦の遍歴」や「当世風結婚」など、複数の絵でストーリーを語る連作絵画/版画によって、マンガの祖のひとりに数えられてきた。しかしながら近年では、ロドルフ・テプフェール(1799-1846)が「マンガの父」として注目を浴びるにしたがい(メディア芸術カレントコンテンツ内関連記事)、あくまでテプフェールの先駆者として片付けられてしまう傾向もあった。

その一方で、フランスのマンガ研究者ティエリ・スモルドラン氏のように「テプフェール起源説」に異を唱え、ホガースを再評価しようとする動きもある。『マンガの誕生:ウィリアム・ホガースからウィンザー・マッケイまで』(仏語版英訳版)の著者であるスモルドラン氏は、ミハイル・バフチン(1895-1975)がホガースと同時代の文学について述べた「多様的言語性」(仏語ではpolylinguisme)と関連付けながら、異なった描画スタイルがレイヤー状に重ねられた「多層的イメージによるユーモア」(polygraphic humour)という概念を手がかりに、ホガースにテプフェールよりも重要な役割を認めるきわめて興味深い論陣を張っている。

2014年はホガースの没後250周年にあたり、今回の展覧会はそれを記念して開かれるもの。ロンドンの当時の風俗を描いた代表作約50点が展示される。関連イベントも予定されているようなので、イベント・プログラムのページを参照してほしい。

「カートゥーン・ミュージアム」は政府公認の民間団体(登録チャリティ団体)が運営するマンガ専門のミュージアム。マンガ家やコレクターたちを中心に1988年からミュージアム設立を目指す活動が行われ、実際にオープンしたのは1999年のこと。2006年には現在の場所へと施設を移転させた。その対象は「18世紀から今日までのイギリスのカートゥーンおよびコミック・アート」(British cartoon & comic art from the 18th century to the present day)と幅広い。図書室には約5000冊のマンガ研究書/関連資料を所蔵する。原画も保有。

ホガースのロンドン展
http://www.cartoonmuseum.org/index.php/exhibitions/current-exhibitions