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 絵画が作品として描かれ、最初から商品として作られるのではないように、インディペンデント・アニメーション、あるいはインディーズ・アニメーションと呼ばれるそれらは、作者の意図のまま、まず”作品”として作られたアニメーションである。そのなかから商品価値が認められて映画館やテレビで公開される作品もなくはないが、多くはアニメーションフェスティバルなどで審査・公開され、観客にその評価を委ねることになる。なかには商業作品と同様の作風を持つインディーズ作品もあることから、一概に”アート・アニメーション”と括ってしまうこともできないが、アニメーション制作を始めた者は誰でも最初はそのような形で作品を作り、そこから(商業作品であれ、アート作品であれ)作家として巣立っていくことになるだろう。

 日本でなら『鉄腕アトム』のテレビ放映が始まったのと同じ1960年代、イラストレーターの久里洋二、柳原良平、真鍋博が結成した「アニメーション三人の会」がインディーズ・アニメーションの面白さを初めてこの国に知らしめ、商業作品の枠に囚われないアニメーション本来の面白さをスクリーンに解き放った。

 その後、大学生や高校生のアマチュア作家が8ミリフィルムを使ったインディーズ・アニメーション製作で腕を競った1980年代を経て、2001年には大学生や専門学校生の作品を学校単位で集めて公開する映画祭「インターカレッジ・アニメーション・フェスティバル(ICAF)」が開幕。映像のデジタル化の波を受け、フィルムならぬビデオ作品の応募が激増するなかで、毎年開催されており活況が今も続いている。それらインディーズ作品の数々は、いわゆる手描きアニメーションから人形アニメーション、CGアニメーションまで様々な手法が駆使され、内容的にも突拍子もないイメージの羅列から商業作品をしのぐ端正な人間ドラマまで、万華鏡のごとくアニメーションの世界が広がっている。ストーリーや設定にがんじがらめにされたテレビアニメやアニメ映画に比べたら、むしろインディーズ・アニメーションこそが真のアニメーションらしいアニメーションといってもよいだろう。

 いささか前置きが長くなったが、パソコンの普及で誰もが映像製作を手掛けられる現在、その様なインディーズ・アニメーションの氾濫は日本だけのものではない。韓国では2005年から「インディ・アニフェスト」と名付けられた唯一のインディーズ・アニメーションフェスティバルがソウルで行われ、著名な国際アニメーションフェスティバルで頭角を現す韓国新人作家の登竜門となっている。 今回紹介する「花開くコリア・アニメーション」(2009年までは「Link into Animated Korea」)は、その日本巡回版として2008年から毎年開催されている上映会である。開催地は第1回の東京を皮切りに、大阪、名古屋などで行われ、10周年を迎えた「花開くコリア・アニメーション2017」は、大阪の「PLANET」と「駐大阪韓国文化院」(4月8〜14日)、東京の「渋谷アップリンク FACTORY」(4月22〜23日)、そして名古屋の「愛知芸術文化センター内アートスペースEF(予定)」(6月10〜11日)で、順次開催が予定されている。上映作品は「宇宙の記憶」、「宇宙の形」、「宇宙の旅」の3テーマに加えて「アジアコンペ部門最優秀作品集」のプログラムに分けられ、それぞれ「インディ・アニフェスト」ノミネート作品から厳選された短編・8〜9作品により各プログラムが組まれている。

 いずれの作品も手法・内容・テーマ共に日本のインディーズ・アニメーションとしのぎを削るものばかりで、「才能に国境なし」と実感させられる最新の秀作ぞろい。さらに会場ごとにゲストトークや懇親会も併催され、主催の韓国インディペンデント・アニメーション協会(KIAFA)とアップリンクが目指す「作り手を身近に感じることができる」イベントとなっている。日韓交流のまたとない機会であると同時に、韓国短編アニメーションの最前線を一望できる「花開くコリア・アニメーション2017」を通して、作品に反映された隣国の”現在”にじっと目を凝らしてみてはいかがだろうか。