SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ映像ミュージアムで「MEC Award (メックアワード)入選作品展」が2015年3月7日から3月29日まで開催されている。

MECは、Media Explorer Challenge Awardの略で、映像分野における新しい才能の発掘と制作支援を目的とした公募展。日本在住の35歳以下の作家、15分以内の映像作品が対象となっている。2012年からスタートし、2015年が3回目となる。

2015年3月7日に、入選5点の中から最優秀賞「MEC Award」として、山内祥太氏の《コンドルは飛んでゆく》が選ばれた。審査員は塩田周三氏(ポリゴン・ピクチュアズ代表取締役)、四方幸子氏(キュレーター)、森弘治氏(アーティスト)。

改めて入選5作品を紹介すると以下の通りだ。

●山内祥太 《コンドルは飛んでゆく》(2014年)映像インスタレーション
●川上彩穂《おでかけ》(2014年)アニメーション
●井藤雄一《Don’t flatten. part 5》(2014年)映像インスタレーション
●齋藤はぢめ《LIKE FATHER LIKE ARTIST》(2014年)映像
●三嶋一路《Racket camera》(2014年)映像インスタレーション

ここではその中から3作品を紹介する。

●山内祥太《コンドルは飛んでゆく》(2014年)映像インスタレーション
最優秀賞を受賞したのは、山内祥太氏の《コンドルは飛んでゆく》である。意図的に選ばれたのであろうチープな質感(2Dの画像をむりやり3Dにしたときの歪みや欠損を含め)のCGとあからさまなグリーンバック合成が、夢の中のような荒唐無稽なストーリーとマッチしている。作者によると、映像や3Dモデルのデータストックが、ネット上に氾濫するようになり、それらを誰が、いつ、どこで、どのように作ったものなのか、もはや分からくなってきた現在の状況が、作品制作の問題意識としてあるという。虚構と現実、イメージと複製といった問題は、写真の発明以来、多くの言葉が費やされてきたが、現代の画像解析技術や3Dモデリング、インターネット、3Dプリンタなどの発展と普及は、そこで論じられてきた膨大な言説を、動画と3D空間に再展開するものとなっているのかもしれない。実のところ、この作品は映像だけでなく、映像インスタレーションなのだが、それは会場を訪れる人が楽しむべきものであろう。

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●川上彩穂《おでかけ》(2014年)アニメーション
主人公(それは犬や猫のようでもあるが、服を着たりするから人なのだろう)が、家の中から外で「おでかけ」する様子をアニメーションで表現した作品。といっても、「おでかけ」は気楽なものではなく、外の世界で翻弄される主人公(のような粘土の塊)が描かれる。そして、最後には……という作品。複数の表現手法が組み合わされ、独特の質感を生み出している。

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●三嶋一路《Racket camera》(2014年)映像インスタレーション
スマートフォンを卓球のラケット型のデバイスにし、映像を知覚する上での実験を行うプロジェクト。ラケットに埋め込まれたスマートフォンで撮影されたラリーの映像が再生され、卓球台にはボールのバウンドした場所がわかるような仕掛けがしてある。試合中、選手が集中すると球がスローモーションで動いているかのように見えるという体験を映像化したインスタレーション作品。

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「35歳以下」という年齢は、美術大学などを卒業後、アーティストが作品を作り続けることができるかどうかという一つの分水嶺になっており、もっとも厳しい状況に置かれているのが、その世代かもしれない。その意味では(今回は学生の作品が多かったが)優れた作品を顕彰するこのようなアワードの意義は大きい。映像に特化した施設にふさわしく、副賞は「彩の国ビジュアルプラザ内施設の100時間までの無償利用権(利用出来る施設:HDスタジオ、映像ホール、編集室、MA室、レンタル機材、他) 」となっており、その点も特色のあるコンテストといえるだろう。

2015年3月15日にはトークイベントが予定されている。審査員の3名のほか、2012年受賞者の大橋史氏、2013年受賞者の橋本玲美氏と、2015年受賞者の山内祥太氏が参加の予定だ。

MEC Award (メックアワード)入選作品展
http://www.skipcity.jp/mec2015/