フランス・パリ近郊にあるパリ第10大学ナンテール校(Université Paris Ouest Nanterre La Défense)は、1968年5月革命時に学生運動の中心となったことで有名な大学だ。この大学で、2012年9月27日から28日にかけて、「大戦間の児童文学:再生と変異」(La littérature pour la jeunesse de l’entre-deux- guerres : renouveau et mutations)と題されたシンポジウムが開催された。

シンポジウムでは、これまであまり注目されてこなかった第1次世界大戦終結から第2次世界大戦勃発までの時期(1919-1939)を取り上げ、児童文学に起こった変革が議論された。

実際この時期には、アメリカで故ヒュー・ロフティング氏の『ドリトル先生』第1巻(1920年)が発表され、ドイツでは故エーリッヒ・ケストナー氏が1920年代末から児童文学を書きはじめている。フランスでも、『ぞうのババール』が出版されたのは1931年。また、故エルジェ氏がフランス=ベルギー派マンガの正典(カノン)である『タンタンの冒険旅行』を作りあげていったのもこの時期のことだった。

今回のシンポジウムでは、タンタンの専門家ブノワ・ペータース氏が招かれ2日目に講演を行った。ペータース氏はマンガ原作者、理論家、伝記作家でもあり、様々な著作を発表している。1970年代末に書かれたタンタン論は批評家・思想家の故ロラン・バルト氏指導の下で執筆されており、バルト氏と同じくフランス現代思想の重要人物のひとりである故ジャック・デリダ氏の伝記『デリダ』も2011年に出版している。1968年5月革命以降の知的潮流を身近に感じていた人物と言えるだろう。

2009年には自伝『イメージを書く』(Benoît Peeters, Ecrire l’image : Un itinéraire, Les Impressions nouvelles)を物している。シンポジウムに合わせて、2012年9月14日から10月31日まで、この自伝をもとにした展示が大学図書館内で開催されている。

またペータース氏は2012年11月に来日予定で、学習院大学海外マンガフェスタで講演を行うとのこと。

 

「大戦間の児童文学:再生と変異」シンポジウム
http://www.u-paris10.fr/1346235598788/0/fiche___actualite/&RH=1275039620729 – KLINK

展示「ブノワ・ペータース:イメージを書く」
http://www.u-paris10.fr/1347979951917/0/fiche___actualite/&RH=ACTUALITE