フランス、パリのソルボンヌ大学で、2014年11月20日と21日の2日間にわたって、シンポジウム「作家のスタイルと肖像:マンガにおける作者について」(Styles et figures d’auteurs : quelle autorité pour la bande dessinée ?)が開催される。

フランスにおいてマンガは第九芸術とも呼ばれているため、この国ではすでにマンガに高い地位が与えられており、社会的な認証が済んでいると思われるかもしれない。しかしながら実際のところ、大学の内部でマンガを研究することは今でもそれほど容易ではない。

いくつもの優れたマンガ研究がフランス語で発表され、その一部が日本や諸外国で翻訳されていることは確かだが、そのほとんどがアカデミズムの周辺あるいは外部で行われたものだった。もちろん、以前にもメディア芸術カレントコンテンツでお伝えしたように、1970年代末にはすでに故ピエール・クープリー氏がマンガに関するセミナーを開講していたし、博士論文として書かれた研究もいくつか存在する。それでもやはり、アカデミズムの牙城ともいえるソルボンヌ大学でマンガについてのシンポジウムが開催される意義は、今日でも決して小さくはないだろう。

シンポジウムは、ソルボンヌ大学のJacques Dürenmatt氏、 Véronique Gély氏、 Clotilde Thoure氏の3氏と、マンガ研究者たちによって結成されたグループGRENA(Groupe de REcherche sur le Neuvième Art)が協力して開くもの。プログラム(PDF)によれば、1日目は「マンガにおける作者の肖像」が、2日目は「マンガにおけるスタイル」がテーマとして扱われる。

1日目の発表では、マンガに登場する文学者や、ヴィンシュル氏の『ピノキオ』(原正人訳、小学館集英社プロダクション、2011年)に登場する、ピノキオの頭の中に棲みついたゴキブリの物書きなど、様々な作家の表象が取り上げられるようだ。そして2日目には、web上で公開されている「マンガ用語・概念事典」(メディア芸術カレントコンテンツ内関連記事)のなかで項目のひとつとして取り上げられた「スタイル」の項目を参照しながら、スタイルとしてのコマ構成や、日本マンガの「支配的な」スタイル、出版社特有のスタイルなどが論じられ、シンポジウム全体として、文学研究においてこの3、40年ほど問題になってきた、作品における作者・制作主体とは何か、という問いが追求されるようだ。

また、両日とも研究者の発表だけでなく、マンガ家を囲んだ討議が予定されている。Catherine Meurisse氏やFrançois Ayroles氏、Benoît Peeters氏、Séra氏などがマンガ作者として参加するとのこと。

シンポジウム「作家のスタイルと肖像:マンガにおける作者について」
http://obvil.paris-sorbonne.fr/actualite/styles-et-figures-dauteurs-quelle-autorite-pour-la-bande-dessinee/jeu-20112014-0000