9 月19 日(土)から神戸市・兵庫県立美術館での巡回が始まる『ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム』展。本展は、東京・国立新美術館での展示(6 月24 日〜8月31 日)を再構成し、巡回展示されるものである。

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国立新美術館「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展会場風景(2015年6月24日〜8月31日)

 国立新美術館での展示を通して見どころを報告しておきたい。手塚治虫が他界した1989 年(=平成元年)を大きな転換の年と位置付け、そこから現在に至る25 年間の日本のマンガ・アニメ・ゲームの軌跡を俯瞰する、大規模かつ野心的な展覧会である。

 国立新美術館では1 階・企画展示室を使い、全8章のテーマに分けて展示を構成。各章にはテーマに即したマンガ、アニメ、ゲームの関連作品がジャンル別に分けることなく配置され、現在までの約25 年間にこれら三つのジャンルから生み出されたものを相互横断的に見て取ることができた。例えば「第1 章 現代のヒーロー&ヒロイン」のエリアではマンガ・アニメ・ゲームから誕生したヒーローとヒロインが紹介され、パネルごとにキャラクターのイメージ、作品解説、そしてキャラクターの映像が展示された3面パネルの三角柱が林立。それら立ち並ぶパネルをエリアの奥から眺めると、平成以降に誕生した人気キャラクターが勢揃いし、1989 年から現在までを一望できる仕組みとなっていた。

 このように25 年という時間をわかりやすく、しかも鮮烈に印象付ける趣向がそれぞれのエリアに凝らされていることが本展の特徴で、単に25 年間を圧縮するだけの内容でないことは大きく評価しておく必要があるだろう。

 以下、第2 章から第8 章まで「テクノロジーが描く『リアリティー』 作品世界と視覚表現」「ネット社会が生み出したもの」「出会う、集まる 『場』としてのゲーム」「キャラクターが生きる=『世界』」「交差する『日常』と『非日常』」「現実とのリンク」「作り手の『手業』」のテーマでそれぞれエリアが構成され、なかには実際にゲームを操作できたりする展示までも含まれていた。これはマンガ、アニメ、ゲームの変遷を通して日常生活や社会、人間関係にまで大きな変化がもたらされた現在までの約25 年間を、ただ眺めるだけでなく実感的に感じ取れる工夫も凝らされていたということで、メディア環境の変化までもがまさしく浮き彫りにされた展覧会であった。

 なかでもとりわけ印象深かったのは第8 章のエリアで、マンガ、アニメ、ゲーム、それぞれのジャンルを代表するクリエイターの手作業に改めて注目。マンガ『GANTZ』のデジタル・ツールを駆使した作画方法、アニメ『マクロスプラス』における”板野サーカス”と呼ばれる演出手法、さらにゲーム『グランツーリスモ』のリアルなグラフィック表現の追求などの展示を通して、デジタル・エイジにおける表現が結局は人間の手と構想力のたまものであることを改めて示し、圧巻だった。キュレーターの側からの原点回帰のメッセージを感じ取れたという意味で、最後の展示エリアにふさわしい構成だったといえるだろう。

 兵庫県立美術館での巡回展においては、これらのブースが「ヒーロー&ヒロイン」「マンガ」「アニメ」「ゲーム」「インターネット」「キャラクター」「プレイ」の7セクションに再構成されて展示される。そこでは1989 年から現在に至るまでのマンガ・アニメ・ゲームの軌跡を、新たな視点を加えて俯瞰させてくれるに違いない。