高校生がスマホゲームで小学生に情報モラルを教える、全国でも珍しい取り組みが2016年12月15日に東京都町田市立七国山小学校で実施された。先生役を担当したのは東京都立山崎高等学校の生徒19名で、グリーが制作した情報モラル啓発アプリ「魂の交渉屋とボクの物語 – Soul Negotiator – 〜君の選択でストーリーが変わる ストーリーから学ぶ情報モラル〜(以下、たまボク)」を使用。6学年・全4学級で総勢119名の生徒が「SNSとの付き合い方」をテーマに授業に臨んだ。


△ゲームのテキストを高校生が読み上げ、選択肢では多数決でストーリーを選択

「たまボク」はグリーが情報モラル教育のため、藤川大祐教授(千葉大)の監修で制作した無料アプリ。プレイヤーは選択肢を選びながらストーリーを進めていき、不適切な投稿やネットいじめなど、インターネットを巡るトラブルに巻き込まれたクラスメートの運命に関与していく。ゲームは10本のシナリオから構成されるオムニバス形式で、選択肢の進め方でハッピー・ノーマル・バッドエンドに分岐する。

山崎高校は東京都教育委員会指定の平成28年度情報モラル推進校で、今回の「出前授業」も高校生が小学生に情報モラルを教えることで、お互いの学びを向上させることが狙いとなっている。準備過程で「たまボク」の存在を知った教員から、教育委員会を介してグリーに協力を依頼。生徒と教員が共同で授業内容やワークシートなどを制作した。その後、同社からの機材協力などを経て授業実施に至った。


△本アプリはiOS、Android向けに開発され、両アプリストアで無料配布されている。

授業は一部・二部に分かれ、一部では高校生が「たまボク」のテキストを寸劇形式で読みあげ、選択肢では児童全員の多数決でストーリーが進められた。授業で使われたのはSNS上の「言葉の勘違い」をとりあげたシナリオで、スマホのテキスト入力に慣れていないキャラクターが、ちょっとした入力ミスから周囲に誤解され、孤立していくというもの。全選択肢を選び終えると、取材したクラスのストーリーは「ノーマルエンド」で終了した。


△参加児童が多数決で選んだ結果「ノーマルエンド」に到達

授業の後半ではグループに分かれて、ワークシートを活用したふり返りが行われた。児童たちは選択肢を選んだ理由や、「SNS内でのコミュニケーションのメリット・デメリット」について考え、グループ内で意見を交換。最後に全体発表が行われた。高校生たちは発表を板書しながらコメントを返し、最後に「デメリットに気をつけて活用すれば、SNSは非常に便利なツールになる」とまとめた。


△グループワークを通してプリントに考えを記述


△各自の考えを発表しながら、SNSの良い点・悪い点を列挙

終了後、高校生からは「元気な子供が多く、授業がやりやすかった」「ワークシートに自分の考えをしっかり書いてくれて嬉しかった」などの声が聞かれた。一方、児童からは「今日学習したことはこれからの時代に欠かせないと思った」「自分も送り先を間違えてしまったり、相手を勘違いさせてしまったりしたことがあった。今日の授業で私だけではないとわかり、対策や改善方法も知ることができた」などの感想がよせられた。

「たまボク」は教育現場での活用を念頭に開発され、ウェブ上で指導ガイドなどが公開されている。同社でも本作を用いたワークショップを小学校で10回以上開催してきた。しかし、今回のように高校生が小学生に教える授業への支援ははじめてだったという。「教材を工夫したり、役を演じたりと、随所に工夫がみられ、小学生にはわかりやすく、高校生にも勉強になったのではないか。今後もこうした支援を続けていきたい(グリー広報)」と語っていた。