先日紹介した「マンガ、イラストレーション、カリカチュア保存美術館と図書館の国際シンポジウム」に出席してきたので、その簡単な報告をおこないたい。

この会議はフランスのアングレームにあるCIBDI(マンガとイメージの国際都市)のよびかけで、2012年1月26日と27日の2日間にわたって開催された。アングレームでは、毎年この期間中にアングレーム国際マンガ・フェスティバルがひらかれており、世界各地からさまざまなマンガ関係者がつどうよい機会となっている。

日本から参加したのは、京都国際マンガミュージアムと高知の横山隆一記念まんが館。スイスのローザンヌからは、ローザンヌ市立図書館が参加していた。アメリカのオハイオ州立大学ビリー・アイルランド・カートゥーン・ライブラリー&ミュージアムや、韓国のkomaconも発表をおこなった。フランス国内からも、CIBDI自身のほかに、ムーランにある子どもむけイラストレーション美術館(La musée de l’illustration jeunesse)が参加していた。そのほかにも、モスクワにあるロシア国立図書館青少年部門コミックセンターの責任者や、スウェーデンのストックホルムにあるふたつの図書館、PUNKTmedis/Medborgarplatsens bibliotekKulturhuset–Serieteketの代表など、さまざまな国籍のひとびとの姿が会場には見られた。

発表プログラムは以下のとおり。


  アーカイブ・コレクションについて:ローザンヌ市立図書館における文化遺産としてのマンガ


  京都国際マンガミュージアムおよび京都精華大学国際マンガ研究センター(IMRC)の紹介


  オハイオ州立大学ビリー・アイルランド・カートゥーン・ライブラリー&ミュージアムの概観


  高知横山隆一記念まんが館の紹介


  Komaconにおける資料保存の現状と未来の解説


  CIBDIの紹介


  CIBDIにおける収集方針について


  子どもむけイラストレーション美術館:その目的、問題点、発展


  ビル・ブラックベアード:北米でマンガを救ったコレクター


  討論:それぞれのアーカイブにおける地域的特性と歴史的評価


  コレクションの活用について


  CIBDIにおけるマンガのデジタル化:保存の問題と活用について


  フランスにおける文化遺産的コレクションのデジタル化


  ビリー・アイルランド・カートゥーン・ライブラリー&ミュージアムにおけるマンガのデジタル化


  討論:読書と創作におけるあたらしいメディア


  マンガを保存する美術館と図書館のネットワーク形成について

時間の都合で一部プログラムに変更があったが、ほぼ上記の内容で会議はすすめられた。

なかでも、オハイオ州立大学のビリー・アイルランド・カートゥーン・ライブラリー&ミュージアムは、3つの発表(「オハイオ州立大学ビリー・アイルランド・カートゥーン・ライブラリー&ミュージアムの概観」、「ビル・ブラックベアード:北米でマンガを救ったコレクター」、「ビリー・アイルランド・カートゥーン・ライブラリー&ミュージアムにおけるマンガのデジタル化」)をおこない、あらためてその存在感を印象づけた。会議のなかで、あらたな建物内に施設を移転する計画も発表され、参加者たちのおおきな関心をひいていた。移転予算千三百万ドル(約10億円)のうち、シュルツ財団などからすでに約半分を寄付であつめたという。これからますます注目の機関となることだろう。

会議閉会時には、所蔵館ネットワークを強化するため、年1回で会議を定例化し各組織がもちまわりでひらくことなどがCIBDIから提案された。また、メーリングリストなど、各組織がネット上でコミュニケーションをとるための手段についても議論された。

今回の会議の模様はCIBDIのホームページ上など、なんらかのかたちで公開する予定とのこと。

CIBDIのホームページ上では、会議開催前によびかけた、各組織の基本情報も順次掲載されている。会議に参加しなかった組織についても情報の提供をまだ受けつけているそうなので、より公範なリストを作成するために、日本の諸館も各館の紹介を送信してみてはどうだろうか(登録ページ)。

メディア芸術カレントコンテンツ内関連ページ

「マンガ、イラストレーション、カリカチュア保存美術館と図書館の国際シンポジウム」

http://mediag.jp/news/cat/post-7.html

メディア芸術カレントコンテンツ内関連ページ

「アングレーム国際マンガ・フェスティバル」

http://mediag.jp/news/cat/post-68.html