2017年2月18日(土)から3月20日(月・祝)まで、ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(滋賀県)にて「大いなる日常」展が開催される。同ミュージアムは、滋賀県近江八幡市の歴史ある重要伝統的建造物群保存地区にあり、昭和初期の町屋を和室や蔵などを活かして改築し、2004年6月に開館した。運営は、社会福祉法人グロー(GLOW)(旧 滋賀県社会福祉事業団)。このミュージアムの特徴は、「アール・ブリュット」(美術の専門教育を受けていない人が、自身の衝動のまま表現した芸術)や障害のある人の表現活動の紹介を核にすえつつ、一般のアーティストの作品と並列することで、「人の持つ普遍的な表現の力」を発信し、「障害者と健常者」などのさまざまなボーダー(境界)を超えていこうとする姿勢にある。

本展「大いなる日常」では、アール・ブリュットの表現者(杉浦篤、戸來貴規、吉本篤史)に加えて、自然とテクノロジーの関係への関心から植物や動物との一種の協同作業を行う作家(AKI INOMATA、トーマス・リバティニー)、メディアアーティスト(銅金裕司、やんツー)が参加。7名の多彩な顔ぶれにより、アートやサイエンス、デザイン、ファッションの垣根を超えた、意欲的な展示構成となっている。人や生き物、機械のあるがままの習慣や性質に基づいた表現を展示することで、「作家性とは何か、誰かと表現をつくるとはどういうことか」を考えてもらう試みであるという。公募により選ばれた本展キュレーターの田中みゆきは、21_21 DESIGN SIGHT、山口情報芸術センター[YCAM]、日本科学未来館で展覧会やパフォーマンス、書籍や印刷物などの企画に携わってきた。最近は「障害について考えることは世界を新しく捉え直すこと」をテーマに活動しており、本展もそうした関心に基づき、幅広い作家や表現者で構成されている。

なお、会期中は、イベントの開催も予定されている。2月18日(土)14:00 -16:00のオープニングトーク「生き物と表現をつくる」では、本展出展者とキュレーターが、本展のテーマであるさまざまな恊働のあり方について話し合う予定。また、3月4日(土)14:00 -16:00には、虫の足音を聴く「Bug’s Beat」ワークショップが予定されている。「Bug’s Beat」は、佐々木有美+滝戸ドリタによる作品で、普段人には聴こえない虫の世界の音を聴くことができる。虫の奏でる音に耳を澄ますことで、虫や自分の大きさが普段と違って感じる感覚を体感できる。

本展のように、メディアアートの先端的な作品と、アール・ブリュットの表現が並列に展示される試みは、あまり例がないだけに画期的な試みとなるのではないだろうか。

開催概要

会期:2017年2月18日(土)〜3月20日(月・祝)
場所:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
http://www.no-ma.jp/the_great_ordinary

参加作家:
AKI INOMATA(1983年生まれ/東京都)
杉浦 篤 Atsushi Sugiura(1970年生まれ/埼玉県)
銅金裕司 Yuji Dogane(1957年生まれ/兵庫県)
戸來貴規 Takanori Herai(1980年生まれ/岩手県)
やんツー yang02(1984年生まれ/神奈川県)
吉本篤史 Atsushi Yoshimoto(1971年生まれ/鹿児島県)
トーマス・リバティニーTomas Libertiny(1981年生まれ/オランダ)

キュレーション:田中みゆき Miyuki Tanaka

no-ma1.jpg
AKI INOMATA「girl, girl, girl…」

no-ma2.jpg
杉浦篤 無題

no-ma3.jpg
銅金裕司+藤枝守「Paphio in My Life」*参考作品

no-ma4.jpg
戸來貴規「にっき」

no-ma5.jpg
やんツー「”落書き”のための装置」*参考作品

no-ma6.jpg
吉本篤史 無題

no-ma7.jpg
トーマス・リバティニー「The Honeycome Vase (yellow) / edition 7 / Artist’s Proof」Photo: Eric Zee