ゲームエンジン「Unity」を国内展開するユニティ・テクノロジーズ・ジャパンは、スマホアプリ開発者向け動画広告サービス「Unity Ads」の勉強会「Unity Adsミートアップ#8 グローバルで活躍するデベロッパーに聞く アプリ開発で大切にしていること」を1月25日に都内で開催した。会場には個人から企業までクリエイター約70名が参加し、さまざまな議論が行われた。

登壇者は『昭和駄菓子屋物語』シリーズの井村剣介氏(GAGEX)と渡辺雅央氏(2DFantasista)。『TIME LOCKER-Shooter』のsotaro otsuka氏。沖縄と台湾にスタジオを展開し、多数のスマホゲームを開発・配信する弘津健康氏(SummerTimeStudio)の4名。一口にグローバル展開といっても、規模感もやり方もまちまちで、会社の数だけ正解があることが改めて浮き彫りとなった。

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セミナーの模様

セミナーはユニティの金田一確氏による、海外展開の最新動向からスタートした。金田一氏によると、Unity Adsを採用したスマホゲームの中で、2016年下半期累計トップ20を精査したところ、海外収益が20%以上を占めるゲームが5割に達したという。中でも文化的に日本と近しい台湾で成功事例が多く見られると説明された。

また、ユニティは中国スマートフォン大手で、アプリサイトも運営するXiaomiと提携を進めており、2017年中に国内デベロッパーのAndroid向け中国ゲーム配信が可能になる見込みだという。「中国は市場が大きく、ヒットすれば大きな収益が見込めます。サービスの詳細はわかり次第、お伝えしていきます」(金田一氏)

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GAGEX井村氏剣介氏(左)と2DFantasista渡辺雅央氏(右)

続いて登壇したGAGEX井村氏と2DFantasista渡辺氏は、昭和の駄菓子屋を舞台としたスマホゲーム『昭和駄菓子屋物語』シリーズの海外展開事例について報告した。

本作は2作で累計500万ダウンロードを記録しており、このうちパート2では中国語(繁体字・簡体字)、韓国語、英語にローカライズしている。国別ダウンロード数は中国が約半数を占め、最近ではアメリカを中心に英語圏でもブレイク中。もっとも売上ベースでは日本が最大で、台湾はその半分、中国は台湾を下回る程度だという。

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井村氏は駄菓子やグッズを集める内容で、太平洋戦争を背景とした重めのストーリーということもあり、文化的にマッチするか不安な部分もあったとあかした。それでもアジア圏のみならず、アメリカでも受け入れられているとして(ただしヨーロッパでは苦戦しているとのこと)、案ずるより産むが易しだったと語った。

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sotaro otsuka氏

処女作『TIME LOCKER – Shooter』がApp Storeの「Best of 2016」に選ばれるなど、高い評価を受けたsotaro otsuka氏。個人クリエイターで、本作も一人で開発されたタイトルだ。もっとも本作は「欧米市場狙いで作ったものの、受けたのは日本人だった」という。累計ダウンロード数は70万本強で、そのうち2/3が海外市場だが、実際はアジア圏が中心。当初想定していたアメリカは10万本に留まったからだ。

この理由としてotsuka氏は「日本と違い、欧米のカジュアルゲーマーは文字通りカジュアルな内容のゲームを好むようだ」と分析。otuka氏が影響を受けた『クロッシーロード』も「車を避けて道を進む」という、身近な題材でシンプルな内容になっていたと語った。これに対して本作は「障害物を避けつつ、敵を撃ちつつ、背後から迫り来る影を避けつつ、前に進む」と4つの要素を混ぜてしまったという。

もっともotsuka氏は「大手と違って個人制作者なら、好きな市場で好きなゲームが作れる。いいものを作れば、どこかで誰かが見てくれている」とコメント。そして「いいものを作るには、つくりたいものを作る」ことが重要だと指摘。世界配信ならニッチ市場でも勝負できるので、自分の感覚を信じて好きなモノを作って欲しいと呼びかけた。

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弘津健康氏

最後に登壇したSummerTimeStudioの弘津氏は「台湾に1年住んで、海外から考えるゲーム作り」と題して講演した。沖縄県宣野湾市に本社を構える同社は2016年3月に台湾・高雄市にスタジオを設立。実際に暮らしてみて、あらためて台湾の人々が日本のアニメや映画に幼少期から慣れ親しんでおり、ゲームやコンテンツ産業が発展途上なところから、若くて優秀な人材を採用しやすい環境にあることがわかったと報告した。

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また、高雄市では行政がコンテンツ産業に積極的に投資をしており、デジタル産業の集約施設や、海外イベントへの出展補助、イベントや交流会の多彩さに驚いたという。「大企業中心の台北市に比べて、高雄市は個人やインディを積極的に支援していて、中でも中国向けフルCG映画の投資が過熱しています」(弘津氏)。総じて非常に良い環境でゲーム制作ができており、今後は現地採用にも力を入れていきたいと抱負を語った。