ビデオアートのフェスティバルでは最も歴史があるものの一つである「Videonale Bonn」(ボン、独)が、オンライン・アーカイブ「VideonaleOnlineArchiv」の試作版を公開した。同フェスティバルは、ビエンナーレ形式で1984年当時ボンの学生3名Dieter Daniels、Bärbel Moser、Petra Unnützerによって「Bonner Kunstwoche(ボン・アートウィーク)」の一環として第1回が開催された。開催当初から国際コンペ形式を採用し、欧州、北南米、アジア諸国から作品が集まった。同フェスティバルは日本人作家も多く参加してきた。例えば、第1回にはスズキジュン《Twenty Home-Made Movies’》(1978年)が紹介され、インスタレーションが展示されるようになった第3回には、久保田成子氏や山本圭吾氏のインスタレーションを始め、日本の80年代ビデオアートの特集上映プログラムが実施された。

同フェスティバルは2011年からNRW州の助成を得て、ビデオアートのコレクションを所有するボン美術館と恊働でオンライン・アーカイブのプロジェクトを立ち上げた。これまで第1回から14回までのフェスティバルから約180作品がデジタル化されオンライン上で公開された。作品によって解像度や尺が異なるが、全編閲覧できる作品もある。

同オンライン・アーカイブは、「アーカイブ」「テーマ」「ビデオ」の3つのカテゴリーからアクセスすることができる。「テーマ」では、オンライン・アーカイブプロジェクトの一環で行われたワークショップを通して作品が選ばれ、現時点では、「Identity & Self-staging(アイデンティティと自己演出)」「Body Images and Gender Roles(身体のイメージとジェンダーの役割)」「Landscape(風景)」「Urban Realities(都市の実在性)」の4つのテーマが設定されている。それぞれのテーマには、教育者や美術史家らによってテキストが寄せられ、オンライン展覧会のような形で作品を再評価している点が興味深い。ワークショップのプロセスとしてドキュメンテーションがオンラインで公開される予定のようだ。なお、カテゴリーの「アーカイブ」は現在制作中で、「ビデオ」からは作家名で検索することができる。

同オンライン・アーカイブは、キュレーターや研究者、学生、作家などに向けて同フェスティバルで紹介された全作品に関連資料と共にアクセスできることを目指し、今後アップデートされていく予定だ。さらに、そのアーカイブ構築プロセスを共有するためのオンライン・プラットフォームとしても機能させていくことを目論む。日本人作家が多く参加してきた同フェスティバルのアーカイブ化に向けて、日本からも積極的な参画や協力体制が築かれていくことを期待したい。とりわけ映像公開にあたっては作家の協力が不可欠だと考えられる。映像作品の全編あるいはプレビューのオンライン閲覧が一般化している今日、研究者や教育者、キュレーターのみならず作家にとっても同オンライン・アーカイブで作品が公開されることに大きなメリットがあるだろう。

なお、30周年を迎える第15回Videonaleは2015年2月27日から4月19日まで開催予定。

VideonaleOnlineArchiv
http://archiv.videonale.org/en/

【参考文献】
カタログ「Videonale 84」1984
カタログ「3. Videonale」1986
カタログ「Videonale 6」1994